「何を描けばいいのか分からない」
「話が広がらない」
「設定はあるのにプロットが組めない」
漫画や小説の創作に取り組むクリエイターさんは、こんな壁にぶつかったことがあるのではないでしょうか。

アイデアがわかない…

そんなときに頼りになるのが “物語の類型(ストーリータイプ)” です!
物語の歴史をひも解くと、神話・伝承・昔話など、人類は長い時間をかけて「同じ構造の物語」を繰り返し語ってきました。
つまり、物語には長く愛されてきた“型”が存在するのです。
この記事では、マンガ家・小説家などの創作者さんに向けて、
- 物語の類型を知ると創作が楽になる理由
- 神話に見られる代表的な物語のパターン
を分かりやすく紹介します。
プロットのヒントになる物語の類型とは?

“物語の類型”とは、多くの神話や昔話、さらには現代の小説やマンガにも共通して見られる ストーリー構造のパターン のことです。
これらの物語のパターンは、誰か特定の人が定義したものではありません。
文学研究者や民俗学者さんたちの間で、「こういうタイプの物語をまとめて語るときに便利だから」と、自然と定着していったものです。
人間が物語を語り続ける中で、「こういう展開は胸を打つ」、「こういう流れは物語として気持ちいい」という共通項が自然と蓄積され、型として定着したものと言えます。
類型は、物語を制限するものではありません。クリエイターさんを助けてくれる手がかりとして活躍してくれます。
- 話づくりの方向性を示す参考資料になる
- プロット構築のための補助をしてくれる
- 読者を惹きつけるための強力な仕組みを知る手段になる
では、この“類型”をもっと深く理解するには何を手がかりにすればいいのか?
ここでわたしがオススメするのが「神話を知ること」です。
神話を知るとプロット作りがラクになる理由

物語の類型を学ぼうとするとき、最も効率の良い教材になるのが 神話 です。
その理由を3つ説明していきます。
神話は物語の原点だから
神話は、現代の物語よりはるか昔に語られ、長い時間を生き残ってきた“物語の集大成”です。
時代や地域が違っても、驚くほど似た展開や役割(英雄、試練、再生など)が現れます。
つまり、神話は物語構造の共通パターンを凝縮したものなのです。
物語の類型が「極端で分かりやすい形」で描かれているから
神話の神々や英雄は、人間よりも“象徴的”に描かれます。
そのため、試練、成長、再生、旅立ちといった類型が、誇張された形でくっきりと表れます。
物語の骨格を理解するには最適です。
多くの人気作品も神話の型がベースになっているから
『スター・ウォーズ』『ONE PIECE』『ハリー・ポッター』など、有名な作品どれも神話的な類型を土台にしています。
神話を知れば現代作品の構造も読み解け、自分の作品にも応用しやすくなります。
では、これらの作品がどのような神話物語の類型を受け継いでいるのか、具体的に見ていきましょう。
『スター・ウォーズ』
神話との繋がり:
物語全体が、世界中の神話を分析したジョーゼフ・キャンベルの「英雄の旅(モノミス)」を忠実に踏襲。
ルークの成長は、ギリシャ神話のヘラクレス、ケルト神話のクー・フーリンなど、 「平凡な者が使命に目覚め、試練を越え、闇を経て帰還する」という普遍的構造と対応しています。
- 【英雄譚】平凡な青年が“選ばれし者”として覚醒する流れは、世界創世神話の英雄たちと同型
- 【試練克服譚】フォース習得・父との対決は“英雄の試練”の典型
- 【冥界降下譚】闇落ちや内面の葛藤は「冥界を通って生まれ変わる」神話構造の現代版
『ONE PIECE』
神話との繋がり:
海を舞台にした冒険は、オデュッセイア(ギリシャ神話)やシンドバッド航海譚など、
“航海=人生の旅”という世界神話の象徴を継承。
仲間集めは“巡礼”や“英雄の仲間”という神話モチーフそのもの。
- 【英雄譚】 “海賊王”を目指す旅は“王になるまでの英雄譚”
- 【旅・探求譚】 偉大なる航路を進む構造は、神話の冒険航海に通じる
- 【試練克服譚】 過去や困難を乗り越える流れは、英雄神話の“試練の反復”と一致
『ハリー・ポッター』
神話との繋がり:
「特別な血筋の少年が異界へ招かれ、闇の王と戦う」構造は、アーサー王伝説や聖職者召命神話に通じます。
また“死の世界との接触”は、世界各地の冥界神話の基本構造を踏んでいます。
- 【貴種流離譚】 特別な血筋の者が試練へ向かうのは古代神話の王族モチーフ
- 【冥界降下譚】 死の国との接触(禁じられた森・ホグワーツの地下)
- 【試練克服譚】 学園での成長と戦いは“魔法習得=通過儀礼”の神話構造
『スパイファミリー』
神話との繋がり:
“家族をつくる”という行為は、神話で語られる「世界創世」「秩序の確立」と同じ構造。
また“正体を隠す存在”は古代神話の“変身神”や“仮面の神”に対応しています。
- 【和解・調停譚】 異質な存在が秩序を作る=創世神話の縮図
- 【変身譚】 偽りの人格は神話の変身モチーフと重なる
- 【旅・探求譚】 任務を通じ“平和”を探す流れは巡礼の物語
『呪術廻戦』
神話との繋がり:
“呪い”は世界神話で「人の負の感情が形を持つ」とされる存在。
儀式・冥府・禁忌の力は、古代の死霊信仰や冥界神話と深く関わっています。
- 【冥界降下譚】 領域展開などの空間は“異界・冥界”の象徴
- 【試練克服譚】 特級との死闘は英雄が怪物を倒す神話の構造
- 【破壊・再生譚】 世界が壊れて更新される流れは創世神話の循環
『チェンソーマン』
神話との繋がり:
“悪魔=恐怖の具現化”は世界神話の「恐怖が怪物として現れる」概念そのもの。
身体変容や死と再生は、古代神話に繰り返し登場する“死んで戻る英雄”と対応しています。
- 【変身譚】 悪魔へ変貌する構造はシャーマン変身譚に近い
- 【冥界降下譚】 地獄編は冥界訪問神話の現代化
- 【破壊・再生譚】 主人公が死と蘇りを繰り返すのは再生神話の核心
『東京喰種』
神話との繋がり:
人間と喰種の二界構造は、神話における“人と異界の境界”のテーマ。
禁忌の力を得る変容は、古代神話の“タブーを破って強大な力を得る英雄”の構造になっています。
- 【変身譚】 人間→喰種への変容は典型的な“異界化”モチーフ
- 【冥界降下譚】 コクリアなどの地下世界は冥界象徴
- 【試練克服譚】 苦痛を通して強くなるのは英雄神話の儀式
『魔法少女まどか☆マギカ』
神話との繋がり:
“契約=代償”は悪魔信仰や古代魔術の神話構造そのもの。
世界改変は“新しい世界の創造=創世神話”に通じます。
- 【冥界降下譚】 魔女の結界という異界への出入り
- 【破壊・再生譚】 世界を書き換える行為は創世神話に直結
- 【試練克服譚】 ループによる挑戦は英雄の“永遠の試練”
神話は“物語の基本構造”
現代のマンガ・アニメ・映画を分析してみると、多くの人気作品が「神話構造 × 類型」をベースに作られていることがよく分かります。
- 主人公の成長 → 英雄譚
- 修行展開 → 試練克服譚
- 異世界転生 → 冥界降下譚
- 世界の始まり → 創世譚
- 滅びと再生 → 破壊・再生譚
- 宿命 → 貴種流離譚
- 姿形が変わる・別の生物に転生する → 変身譚

漫画や小説でよく見かける展開も実は”型”があったんだね

そうなんです!
神話を学ぶと、神話以外の作品にも物語の“型”が見えてくるのが面白いんです。
なぜ“物語の類型”を知ると創作しやすくなるのか?

物語の類型は、単なる「よくある展開のまとめ」で済まされるものではありません。
神話や昔話、さらには現代作品にいたるまで、無数の物語が積み重ねてきた“成功パターン”の集まりです。
だからこそ、クリエイターさんにとっては ストーリーを形にするための強力な手助け になります。
ここからは、なぜ類型を知るだけで物語づくりが一気にスムーズになるのか、具体的に見ていきましょう。
「ゼロから生む」苦しさが減る
物語を完全な真っ白から作るのは非常に難しい作業だと思います。
しかし、類型を知っていれば “型に流し込むだけで形になる” という強みがあります。
プロット作りが一気にラクになります。
読者が「面白い」と感じる理由が分かる
物語の類型は、長い年月にわたる“人類の物語データ”。
長く語られるということは、それだけ人を惹きつける力を持っているということ。
知らず知らずのうちに惹きつけられる。
そんな物語の構造を公式のように理解できるため、読者が心地よく感じるプロットを作りやすくなるはずです。
型を知るほど、崩して遊べる
王道を知っているからこそ、逆張りやひねりも可能になります。
物語の類型を理解すると、「ここで意外な展開を入れよう」 、「王道すぎるから最後に捻りを入れよう」 とアレンジすることでオリジナリティーが出ます。
神話に見られる代表的な物語類型5選

手っ取り早く、代表的で使いやすい物語の類型を教えて。

わかりました!
創作にすぐ活かせる「神話のストーリー型」を5つご紹介します。
誕生譚
神や英雄が“どのように生まれたか”にドラマがある物語類型。
奇跡の誕生・特殊な出自は、そのキャラを一瞬で特別な存在にします。
①特異な状況・出自の提示(奇跡/予兆/神秘)
②誕生にまつわる試練・妨害
③保護・隠匿・育成
④“特別な存在”として世界へ登場
貴種流離譚
高貴な血筋を持つ者が、流浪・追放・試練を経て成長し、最後に帰還する物語。
現代でも少年マンガやファンタジーの王道構造です。
①高貴な血筋の提示(特別性・宿命)
②追放・流浪(環境の喪失)
③放浪の中での試練・成長
④帰還・継承・正当な地位の回復
英雄譚
異能・勇気・知恵を武器に、冒険や戦いで偉業を成し遂げるストーリー。
バトル作品、冒険譚、アクション物の基本骨格として使えます。
①使命の呼びかけ(冒険の誘い)
②仲間・能力・武器の獲得
③強敵・障害との戦い
④偉業の達成と帰還(成長の結果)
冥界降下譚
暗黒の国・死者の世界へ降り、何かを取り戻して帰ってくる物語。
“死と再生”“失われたもの”という強いテーマ性を持つ、深い類型です。
①喪失(動機:失われた人・力・記憶・希望など)
②異界への降下(冥界・死者の国・暗黒世界)
③試練・対峙(恐怖・影の自己・禁忌・代償)
④“何かを得て”帰還(再生/赦し/真実/象徴的な力)
試練克服譚
課題・罰・試練に挑戦し、失敗と成長を繰り返して乗り越える物語。
キャラの魅力・成長曲線を描く上で非常に使いやすい型です。
①課題の提示(試練の理由)
②挑戦と失敗(成長の契機)
③再挑戦(力の獲得や仲間の支援)
④試練の突破 → 新たな段階へ
物語の類型からプロット作成へ繋げる方法

神話や物語の類型が大事なのはわかった。
でも、具体的にどうしたらいいの?

神話のあらすじや物語の類型の概要を理解した上で、
自分の好きな物語と比較していくのがオススメです!
神話と現代作品の比較
神話は物語の類型を学ぶのに良い題材ですが、展開が激しかったり、理解するのが難しいことも多々あります。そのため、神話を現代の感覚でそのまま活用するには難しいです。
おすすめは、
神話のあらすじと物語の類型を把握した上で、マンガ・アニメ・小説などの現代の作品と照らし合わせていくこと。
- 神話の概要と物語の類型をざっくり掴む
- 学びたいジャンルの作品と照らし合わせる
この2つを交互に実施していくと理解が深まります。
好きな作品がどの類型に当てはまるか分析してみる
ぜひ、好きな作品や、これからプロットに活用したい作品が、どの類型に該当するか分析してみてください。
いくつか分析してみると、「なぜその作品が好きなのか」 、「どんな展開にしていけばいいか」 が見えてきます。
物語の類型を「テンプレ」ではなく「道具」として使う
当てはまる物語の類型を見つけても、そのまま当てはめる必要はありません。
迷ったときにルートを示してくれるヒントとして活用しましょう。
わたしのような読者の目線だと、型通りの王道も大好きですが、物語の類型をアレンジしたり、ちょっと裏切ったりする展開にグッときます。

やり方はわかった。
でも創作活動もあるし、作品を分析したり神話に立ち返ったりする時間がない…

そんなクリエイターさんの時間を無駄にしないため、
わたしが代わりに 神話キャラクター分析のマガジン で分析しました!
クリエイターさん向け:神話の物語類型を勉強できる分析マガジン

神話キャラクター分析のマガジン は、膨大な神話をひとつひとつ調べる手間を減らし、創作のヒントとしてそのまま使える形でまとめています。
- キャラ設定の“芯”になるアーキタイプ
- ストーリーを支える物語の類型
- 世界観に深みを持たせるモチーフ
- 海外の読者にも届きやすい普遍的テーマ
これを読めば、神話を勉強する時間を最小限にしつつ、創作に直結する情報を効率よく手に入れられます。
キャラクター設定や物語構造に悩む時間を半分以下に抑え、アイデア出しからプロット作成までをスムーズに進められるはずです。
【神話×マンガ】キャラクター分析では、神話のキャラクターを“創作に使いやすい形”に整理して紹介しています。
- 新しいモチーフを探している
- 神話と現代作品の比較分析を簡単にやりたい
- 物語の類型について学びたい
- 物語の世界観に“芯”を作りたい
- 設定に説得力や裏付けがほしい
- 読み物としても楽しみたい
ただ神話を解説するのではなく、「創作のヒントとしてどう使えるか」に視点を置いてまとめています。

神話のあらすじや概要は無料で公開しています。
初めて学ぶ人にもカンタンに伝わるように作りました。
ぜひ覗いてみてください。
まとめ:創作に迷ったら物語の類型を活用しよう
物語の型を知ることは、創作を縛るどころか むしろ自由に創作活動ができる手段 です。
迷ったときの道しるべとして、
読者に届く物語を作るための武器として、
そして自分の物語世界をさらに広げるために——。
ぜひ一度、神話の類型に触れてみてください。
きっとあなたの物語づくりが、これまでよりずっとスムーズになることを祈っています。


