作品概要
- タイトル:ふつつかな悪女ではございますが 〜雛宮蝶鼠とりかえ伝〜
- 原作:中村颯希
- コミカライズ:尾羊英
- 連載開始:2020年(コミック版:Comic ZERO-SUM)
- 既刊巻数:原作小説 全11巻/コミック 既刊9巻(2025年10月時点)
- ジャンル:恋愛/ラブコメ/悪役令嬢もの
- 連載状況:連載中

あらすじ
黄家(こうけ)の雛女(ひめ)・玲琳(れいりん)は、美貌ゆえに「殿下の胡蝶」と呼ばれる令嬢。ところがある日、宮中一の嫌われ者・朱家(しゅけ)の慧月(けいげつ)にハメられ、なんと身体を入れ替えられてしまう!
牢屋に放り込まれ、罪まで背負わされ、いきなり絶体絶命…と思いきや。病弱で常に「死」と隣り合わせだった玲琳にとって、健康な身体はむしろ大チャンス!?
「やった!ご飯も食べられるし、走れる!」とピンチを楽しみに変えてしまう鋼メンタルで、玲琳は次々とトラブルを笑い飛ばしながら乗り越えていく。逆境も悪女のレッテルも、彼女の手にかかれば痛快な喜劇に大変身――!
面白ポイント・感想
筋肉と根性で困難を乗り切る!
無学、無才と周りから蔑まれていた慧月の策略にはまり、体が入れ替わってしまった玲琳。
慧月の犯した罪で牢屋に入れられようと、処刑されようと、立場を剥奪されて宮廷から追い出されようと、健康な体があることが至高!
困難を困難と感じることなく、むしろ前のめりに楽しみ、住処を作り直したり畑仕事をしたり、芋を食べまくったり、パワフルに楽しく生き抜いていく姿が爽快です。
入れ替わりのハプニングや周囲との掛け合いもコミカルに描かれ、宮廷ものの緊張感やドロドロ感を爽快に楽しめるのが魅力です。
予想もしないストーリー展開
最初は「玲琳が活躍して、慧月が懲らしめられる話かな?」と思わせる展開ですが、物語は想像を超える方向へ。
無学・無才で過酷な生い立ちにより性格が捻じ曲がった慧月と、病弱ゆえに死と隣り合わせで生きてきた玲琳。互いの苦しみや境遇を理解し合い、尊敬や友情が芽生えていく様子は美しく感動的です。
さらに宮廷ものならではの陰謀や試練が二人を襲い、予測不能な展開が続きます。読者は二人がどのように危機を乗り越えていくのか、目が離せません。
単純にはいかないキャラクターの心理描写
キャラクターの心理描写も単純ではないところが魅力です。
玲琳は一見、筋肉と根性で乗り切る陽キャな性格。しかしその裏では、病弱で死と隣り合わせだった過去が影響し、死に対する覚悟や諦めがところどころに散りばめられています。
一方、慧月は過酷な生い立ちに加え、誰からも手を差し伸べられず、教養を十分に得られないまま育ったため、周囲からの蔑みの目に敏感です。虚勢を張る性格はしばしば裏目に出てしまい、行動が空回りすることもあります。
二人がどんな困難を乗り越えても、心の中ではそれぞれの闇や葛藤と戦い続けています。こうした複雑な心理描写が、キャラクターに奥行きを与え、単なるコメディや宮廷もの以上の深みを生み出しています。
こんな人におすすめ
- コメディ要素を含む宮廷ものや悪役令嬢ものが好きな方
- 主人公のパワフルで前向きなキャラクターに元気をもらいたい方
- 入れ替わりやキャラクター同士の掛け合いなど、ユニークな展開を楽しみたい方
- 王道の恋愛・ラブコメだけでなく、ちょっとひねりのある物語が好きな方
まとめ
『ふつつかな悪女ではございますが』は、宮廷ものや悪役令嬢ものの設定に加え、入れ替わりやコメディ要素を巧みに組み合わせた作品です。
主人公・玲琳のスーパーポジティブさとパワフルさ、慧月との複雑な関係性、そして宮廷内の陰謀や試練が絡み合う物語は、読者を飽きさせません。
ピンチを楽しみに変えて前向きに生き抜く玲琳の姿は、思わず応援したくなる爽快感があり、宮廷ものの緊張感やドロドロ感もコミカルに描かれています。
心温まるコメディと予測不能な宮廷サスペンスが融合した、『ふつつかな悪女ではございますが』。読めば読むほどキャラクターの魅力と物語の奥深さを味わえる作品です。

