『呪術廻戦』考察#16|両面宿儺とは?死滅回游で明かされた“破壊と再生”の意味 (Jujutsu Kaisen Analysis: Ryomen Sukuna — The Meaning of Destruction and Rebirth)

呪術廻戦(Jujutsu Kaisen)

『呪術廻戦』16巻 第137話「堅白」から始まる死滅回游は「破壊と再生」をテーマとしています。
そして、その中心に立つのが「両面宿儺(りょうめんすくな)」です。

両面宿儺は死滅回游の展開も佳境の中、24巻 第213話「呪胎載天―伍―」で衝撃の復活を果たします。

その後に五条先生も封印から復活して、
よし、ここからが巻き返しだー! やっちゃってください、五条先生‼︎ とワクワクしたんですが――

……宿儺、強すぎじゃない? しかもバトル長すぎじゃない⁉︎

最後まで読み続けるのがこんなにしんどいバトルマンガ、なかなかないよなあと思いながら読んだものです。

しかし後から考えてみると、それも仕方ないような気がします。
これは「破壊と再生」。世界を作り変えてしまう、そんな話ですから。
サッと決着をつけていいものではないのかもしれません。

かつては“呪いの王”として描かれた宿儺。
しかし『死滅回游』を経た今、彼の存在は単なる悪の象徴ではなく、
世界をリセットし、新たな秩序をもたらす“終末の王”へと昇華しました。

この記事では、宿儺を「死と再生の循環神」として読み解くことで、
『呪術廻戦』という作品が描く“人間の再生”の物語構造を探ります。

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両面宿儺の正体を考察 ― “破壊の神”であり“再生の媒介”

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宿儺はその名の通り、「二つの顔」を持つ存在。
それは“破壊”と“救済”という相反する二つの側面です。

『日本書紀』における両面宿儺は、

  • 中央政権にとっては異形の反逆者
  • 地方の人々にとっては“異形の英雄”
    でした。

両面宿儺は、地方では人々を守る守護神として祀られてきました。
つまり、宿儺は古代から「秩序に抗う神」として生き続けてきたのです。

『呪術廻戦』においても、宿儺は秩序の破壊者として現れます。
だが、彼の破壊は、ただ破壊するだけではありません。
「旧き呪術社会を壊し、新しい世界を再構築するための破壊」です。

両面宿儺は破壊の中に再生を孕む“循環神”。
まるでヒンドゥー神話のシヴァ神、あるいは北欧神話のラグナロクの神々のように、
破壊と守護、二つの顔を持つ荒神(あらがみ)のように、終末と再生を同時に体現しています。

両面宿儺の二面性については、こちらの記事で詳しく解説しています。

関連記事 -> 『呪術廻戦』考察#2|両面宿儺は悪か英雄か?日本書紀と神話に見る二面性の真実 (Jujutsu Kaisen Analysis: Ryomen Sukuna Explained)

死滅回游の目的と意味 ― 世界を更新する呪術儀式の真相

「死滅回游」とは、“死を通じて再生する”ための呪術儀式でした。

羂索(けんじゃく)はこの世界を一度リセットし、
“新しい人間”を創るために魂を再配置しました。

その最終段階で、宿儺は“破壊の鍵”として機能します。
五条悟という“従来の神”を滅ぼし、五条悟ありきの世界崩壊を完成させることで、
世界が次の段階に進む“余白”を生み出したのです。

宿儺は「破壊者」ではなく、「再生を可能にする終末の使者」。
それが『死滅回游』が描いた両面宿儺の本質でした。

虎杖悠仁の役割 ― 人間の再生を象徴する存在とは?

死滅回游のあとに残されたのは、神でも呪霊でもない――人間。

そしてその中心に立つのが虎杖悠仁です。
彼は宿儺を宿した「人間と呪いの融合体」であり、
神と人の間に立つ“橋”のような存在。

虎杖は、両面宿儺という“破壊”を受け入れることで、
“再生”という可能性を生み出す存在へと進化します。

つまり虎杖は、「人間が呪いを取り込み、再定義する存在」
彼の中にある宿儺の力は、もはや“敵”ではなく、“進化の触媒”なのです。

神話的構造で読み解く『呪術廻戦』 ― 終末と創世の循環

『呪術廻戦』の物語構造は、古代神話のパターンを踏襲しています。

  • 世界は破壊され(渋谷事変)
  • 魂が試され(死滅回游)
  • 新しい秩序が生まれる(創世)

この「破壊→再生→創造」という循環こそ、神話が持つ普遍的リズムです。
そして宿儺はその中心にいる“終末の神”であり、
虎杖は“新しい創世記”を紡ぐ“人間の神話”です。

宿儺が「神の死」をもたらし、
虎杖が「人の創世」を開始する――。

この交代劇こそ、『呪術廻戦』の根幹にある構造なのです。

宿儺以後の世界とは ― 『呪術廻戦』が描く破壊と再生の結末

宿儺がすべてを壊し尽くしたあとに残るものは、空白。
しかし、それは絶望ではなく、“始まりの余白”です。

世界は破壊され、呪術は終わり、神は沈黙する。
そのあとに立ち上がるのは、“人間自身”の意志。

虎杖悠仁という存在は、
神を超え、呪いを受け入れ、
それでもなお他者を救おうとする“人間の可能性”そのもの。

宿儺が終末の王なら、虎杖は創世の預言者。
『呪術廻戦』という物語は、
その二人によって、“人間が神を超える物語”として完結へと向かっていくのです。

⚠️注意
この記事で紹介している内容はあくまで考察です。
渋谷事変に関する元ネタが明言されているわけではありません。
ただ、こうした視点で読み解くことで、『呪術廻戦』をより楽しんでいただけたら嬉しいです。

関連記事 -> 『呪術廻戦』考察#15|死滅回游を徹底考察 ― 神の死と再生、虎杖悠仁が象徴する人間の創造 (Jujutsu Kaisen Analysis: Culling Game — Death, Rebirth, and the Creation of Humanity)

関連記事 -> 『呪術廻戦』考察#2|両面宿儺は悪か英雄か?日本書紀と神話に見る二面性の真実 (Jujutsu Kaisen Analysis: Ryomen Sukuna Explained)

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