元ネタ解説#2 イザナキ・イザナミ|“創造と死”の神話 ― 日本神話に見る破壊と再生の原型 (Reference Analysis: Izanagi and Izanami — Creation and Rebirth in Japanese Mythology)

日本神話(Japanese Mythology)

今回は、イザナキ・イザナミについてご紹介します。
日本神話に登場するこの2人は、国土や神々を作り出した、神話の中でも初めの神さまとして知られています。

名前だけなら、ゲームやマンガ、アニメ、小説、映画など、さまざまな作品で耳にしたことがある人も多いはずです。
とても有名な2人ですので、彼らの物語を知っておくと、これから読むマンガや作品の楽しみ方もさらに広がるでしょう。

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イザナキ・イザナミとは ― 日本神話における“創造と死”の始まり

国土と神々を生み出した最初の神々

一言で言うと、日本神話における最初の神様です。
イザナキ(男神)、イザナミ(女神)は、国境も生死の境もない、まだ形の定まっていない世界で存在していました。

2人は海や島を作り、日本の国土や神々を次々と生み出しました。
ここで生まれた神々は、イザナキ・イザナミの子どもにあたります。
火の神や風の神、水の神など、自然や世界の仕組みを司る神々が誕生していきました。

イザナミの死と黄泉の国

イザナミは火の神を生んだ際に命を落としてしまいます。
悲しんだイザナキは黄泉の国(死者の国)へ妻を迎えに行きますが、イザナミは「まだ私の姿を見ないでほしい。少し待ってほしい」と言いました。
しかし、イザナキは我慢できずにイザナミの姿を見てしまいます。そこにいたのは、すでに恐ろしい姿に変わり果てたイザナミでした。

恐怖に駆られたイザナキは逃げ出し、イザナミは怒り、黄泉の国の軍勢を追わせます。
イザナキは必死に逃げ、ついに黄泉比良坂(よもつひらさか)という境界にたどり着き、大きな岩を置いて道をふさぎました。

その岩を境にして、この世(生者の世界)とあの世(死者の国)は完全に分かたれたとされています。
こうして「死者と生者の世界が分かれた始まり」となりました。

別れ際、イザナミは怒りの中で「あなたの国の人を一日に千人殺してやる」と言い放ちます。
それに対してイザナキは、「ならば私は一日に千五百人産ませよう」と答えました。

この夫婦喧嘩がきっかけで、生きている・死んでいるの区別もなかった世界に、「生」と「死」の仕組みが生まれました。なんとも壮大な夫婦喧嘩ですね。

禊による新たな神の誕生

その後、イザナキは黄泉の穢れを清めるために禊(みそぎ)を行います。
このとき、体を洗った場所や流れた水から新たな神々が生まれます。
例えば、左目から太陽の女神アマテラス、右目から月の神ツクヨミ、鼻から海や嵐を司る神スサノオが誕生しました。
こうして、清めの行為そのものが新たな神々を生むきっかけとなったのです。

このモチーフが登場する作品

『鬼灯の冷徹』

5巻 第37話「神代あのよ革命」

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イザナキ・イザナミの日本神話の概要を、たった2ページでテンポよく描いたエピソード。
国土や神々の誕生、黄泉の国の出来事まで、要点をしっかり押さえつつ、コミカルに学べます。

この作品は本当にすごくて、イザナキ・イザナミ以外にも、わかりにくい日本神話の逸話を短く簡単に、そして面白く説明してくれます。

11巻 第90話「恨みつらみあってこそ」

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地獄のご隠居としてイザナミが登場するオリジナルストーリー。
天然ボケの獄卒・茄子とのやりとりがほっこりする一方で、イザナキとの確執を思わせるセリフもあり、
長い年月を経たイザナミの落ち着きや達観が感じられる回です。
神話の“後日談”的な雰囲気で、静かな深みのあるエピソードになっています。

関連記事 -> 『鬼灯の冷徹』作品紹介|地獄を舞台にしたシニカルギャグと日本神話の知識  (Hozuki’s Coolheadedness: Dark Comedy in Hell with Japanese Mythology)

『出禁のモグラ』

11巻 第96話「弓と剣」

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日本神話におけるイザナキ・イザナミのあらましが描かれています。
『鬼灯の冷徹』がコミカルに神話を描くのに対し、『出禁のモグラ』ではよりシリアスなトーンで表現。
イザナキ・イザナミの“諍いの後”の物語や、人間との関わりがテーマになっており、
同じ神話モチーフでも異なる味わいが楽しめるエピソードです。

関連記事 -> 『出禁のモグラ』作品紹介|モグラと仲間たちが巻き込まれる怪事件コメディ  (Dekin no Mogura: Comedy of Mole and Friends in Strange Incidents)

『米蔵夫婦のレシピ帳』

4巻 第35話、第36話

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『鬼灯の冷徹』や『出禁のモグラ』のようなファンタジーとは打って変わって、『米蔵夫婦のレシピ帳』ではまた一味違う形でイザナキ・イザナミのエピソードが登場します。

亡くなった妻りほ子の残したメモをもとに、主人公の卯之助は出雲大社へ足を運ぶ卯之助。

イザナミを妻りほ子に、先立たれた自分をイザナキに見立て、妻を失った悲しみに打ちひしがれる卯之助の様子に心を打たれます。

前知識がなくても十分グッとくるシーンですが、元ネタを知っているとさらに楽しめます。

『米蔵夫婦のレシピ帳』の作品紹介はこちら。

『呪術廻戦』

『呪術廻戦』に直接イザナキ・イザナミがモチーフになるようなエピソードはありませんが、伏黒恵は実はイザナキをモチーフになっているのではないか? と考えられます。

考察記事も併せて読んでいただくと、より『呪術廻戦』が楽しめるはずです。

関連記事 -> 『呪術廻戦』考察 その4|伏黒恵と十種影法術 ― 影に宿る死と再生の神話 (Jujutsu Kaisen Analysis: Megumi Fushiguro and Ten Shadows Technique)

まとめ

イザナキ・イザナミの物語は、日本神話の中でも「創造」と「別れ」という大きなテーマを持つエピソードです。
漫画では、神話の重厚さをそのままに描くものもあれば、コミカルにアレンジして親しみやすく表現しているものもあります。

『鬼灯の冷徹』や『出禁のモグラ』、『米蔵夫婦のレシピ帳』のように、異なるトーンで描かれることで、
同じ神話でもまったく違う印象や解釈を楽しめるのが魅力です。

今後も、他の作品に登場するイザナキ・イザナミのエピソードを見つけたら、追記していきます。

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