「鬼灯の冷徹」作品紹介|地獄を舞台にしたシニカルギャグと日本神話の知識

作品紹介

作品概要

  • タイトル:鬼灯の冷徹
  • 作者:江口夏実
  • 連載:2011年〜2020年(モーニング)
  • 巻数:全31巻・完結済み

あらすじと見どころ

舞台は「地獄」。
主人公は、閻魔大王の第一補佐官・鬼灯(ほおずき)。
冷徹でドS、だけど有能すぎる働きっぷりで、膨大な仕事をこなしていきます。

地獄に落ちてきた亡者たち、鬼たち、神話に登場する神仏などが次々と登場。
ブラックジョークとシニカルな笑いを交えながら、地獄の日常が描かれます。

地獄の仕組み・描写が面白い

『鬼灯の冷徹』の大きな魅力は、地獄の描写が妙にリアルで体系立っていること。

地獄には「八大地獄」と呼ばれる場所があり、それぞれ罪に応じた罰が待っています。
恐ろしいはずの世界も、鬼たちがまるで官公庁の職員のように業務をこなしているため、地獄が「お役所仕事」のように見えるのがシュールで笑えます。

とくに「閻魔庁」は、完全に現代的なオフィス。
書類に追われ、人事に悩み、飲み会もある…そんな地獄の描写がクセになります。

キャラクターの魅力

鬼灯

本作の主人公。閻魔大王の第一補佐官であり、冷酷かつ有能な仕事人。
ドSな性格とブラックユーモア、でもどこか憎めない存在。

閻魔大王

地獄の最高責任者でありながら、頼りない上司ポジション。
鬼灯との掛け合いがゆるくて面白い。

シロ

犬の霊。桃太郎に登場する犬がモデルで、元気いっぱい。
鬼灯にべったりで、場を和ませる癒し担当。

芥子(からし)

小さなうさぎの獄卒。カチカチ山に登場するウサギがモデルで、見た目に反して拷問好きな凶暴キャラ。
そのギャップが魅力的で、怖いけどかわいい存在。

このほか、桃太郎や浦島太郎、日本神話の神々、さらには海外のキャラクターまで登場し、作品の世界をさらに賑やかにしています。

日本神話や仏教の知識もゆるく学べる

『鬼灯の冷徹』では、日本神話や仏教のエピソードが次々に登場します。

木花咲耶姫の炎の出産、イザナギとイザナミの黄泉の国の神話など、難解で重苦しいエピソードもコミカルにアレンジ。
「なるほど、こんな神話があるんだ」と肩の力を抜いて知識が身につくのも嬉しいポイントです。

この作品は単体でも十分に楽しめますが、日本神話の知識を自然に身につけられるのが大きな魅力。
日本の漫画や小説には神話をもとにした作品が多く存在します。
『鬼灯の冷徹』を通して神話のエッセンスを理解できると、他の作品を読むときにも「あ、このキャラはあの神話から来てるんだ」と発見があって、楽しみの幅がぐっと広がります。

どんな人におすすめ?

  • ブラックジョークやシニカルな笑いが好きな人
  • 日本神話や仏教にちょっと興味がある人
  • お仕事ギャグや日常コメディが好きな人
  • キャラクターの掛け合いで笑いたい人

注意点

宗教や民話のエピソードが登場しますが、あくまでギャグとしてアレンジされています。
作中の描写をそのまま信じ込まず、「そういうキャラクターやエピソードがあるんだな」程度にとどめて、純粋に楽しむのが良いでしょう。

まとめ

『鬼灯の冷徹』は、地獄や神話を舞台にした唯一無二のギャグ漫画。
恐ろしいはずの地獄を、笑って楽しめる舞台に変えてしまった発想力が光ります。

シニカルな笑いと知識が同時に楽しめる作品。
日本神話や仏教の世界に親しむ“入口”としてもぴったりで、読み終える頃には他の作品の理解も深まること間違いなしです。

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